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しっぴんぐ論壇

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リティの見地から、事態の流れに我慢できないということであれば、当然国の負担において、ナショナル・ミニマムとしての日本籍船と日本人船員を確保するほかはない。
この場合、わが国の課税原則に照らして、あるいは他産業とのバランスから、社会的支持を得られないという狭い政策視点そば、とうてい効果的なフラッキングアウト対策を導き出すことはできない。日本海運が活躍の場としているグローバルな視点から助成策が立案され、少なくとも一応の成功を見ているあるヨーロッパの国の第二船籍制度に匹敵する支援措置が導入されなければならない。
ヨーロッパにおける第二船籍制度の経験は、国内船主を魅力づけ、、彼らに自立再生の契機とはずみを与える政策支援を導入できなければ、フラッギングアウトの阻止あるいは自国籍船の回復を達成できないことをわれわれに教えている。
これに関し、一方で、OECDの貿易外産業の自由化コードやWTOのサービス部門の自由化交渉、さらにローマ条約の国家援助に関する禁止規定などが目指す目的なり理念である「自由化、規制の撤廃・緩和、国家助成のフェージングアウト〈段階的解消〉」という歴史的趨勢に枠組されて、また他方で国内の政治的・社会的あるいは財政的環境条件に制約されて、国旗差別規制や手厚い国家補助は導入しにくくなっていることは確かである。
しかし、(1)国際海運市場における自由かつ公正な競争、(2)荷上の海運サービスの選択の自由、(3)能率的・経済的な海運サービスの提供といった基本原則に矛盾しない範囲内において、先進海運国の間に国家助成が行われていることも、また確かである。

 

 

目指さなければならないイコールフッティングの確保
そこで、期待されなければならないのは、社会的に容認されやすく、しかもコスト節減効果が少なくない方法である海運業に関わるもろもろの「規制」および「慣行」の撤廃と緩和である。
本来、国家規制や慣行は、当該産業の秩序ある発展を図るか、関連産業や一般社会の利益確保のために存在するものである。そうした視点から、存在し続ける価値が疑問視される規制や慣行が少なくない。この機会に、既作の規制や慣行を抜本的に見直し、可能最大限までこれらの撤廃ないし緩和が行われるべきである。この見直しの対象には、わが国海運産業がハンディキャップを負っている港湾運送規制ならびに埠頭ターミナルの利川慣行も、含まれなければならない。
そして、さらに外国競争者、少なくとも欧米船主が財政、税制、金融あるいは社会保証負担などの面で享受している財政的支援措置に匹敵する何らかの政策的支援によって、日本船上が「イコールフッティング」を確保できる可能性が追求されなければならない。
しかし、上記の規制談話と政策的支援措置のみで、日本船主が必ずしも国際競争力を確

 

 

 

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